本当に効くの?AGA治療におけるノコギリヤシの有効性を検証
インターネット上では、ノコギリヤシのサプリメントがAGAに効果があるのかどうか、しばしば議論されます。そこでノコギリヤシのサプリメントは薄毛にどう影響するのか、また、プロぺシアとはどう違うのかを検証しました。「ノコギリヤシのサプリメントに興味はあるけれど本当に効果があるのかわからない」という方は、ぜひ参考にしてください。
ノコギリヤシの基礎知識
ノコギリヤシはAGAによる薄毛に効果がある植物と言われており、サプリメントとして販売されています。AGA対策としてノコギリヤシのサプリメントを使用する人もいますが、本当にノコギリヤシでAGAを治療ことができるのでしょうか。また、AGA治療ではプロペシアなどの発毛剤があるのに、あえてノコギリヤシを使う必要はあるのでしょうか。
これらを解き明かすためにも、まずはノコギリヤシの基本を学びましょう。
ノコギリヤシとは
ノコギリヤシはヤシの1種であり、ノコギリパルメットとも呼ばれています。葉のギザギザがのこぎりに似ていることから、このように名付けられました。北米からメキシコにかけて自生する植物で、果実が食用や医療用に用いられています。古くから滋養強壮や利尿作用のあるハーブとして、19世紀頃には前立腺肥大症の治療薬として使用されていました。また、近年ではその薬理作用に注目しAGA治療にも効果があるでは?と研究されています。
ノコギリヤシがAGA改善に効果があると言われる理由
ノコギリヤシには、オクタコサノールやステロールという脂肪酸が含まれています。この2つには「5αリダクターゼと呼ばれる酵素の働きを抑制する作用があるのではないか?」と考えられています。5αリダクターゼはAGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)を生み出すため、5αリダクターゼを抑制するノコギリヤシはAGAを改善できるのかもしれない、と期待されているのです。
なお、ノコギリヤシはヨーロッパで前立腺肥大症による排尿障害を治療する医薬品(ハーブ)として認可されています。前立肥大症の原因がAGAと同じDHTであることから、AGAにも同様に作用するのではと考えられています。
ノコギリヤシに発毛効果はない
結論を言うと、ノコギリヤシを飲んでも髪は生えません。なぜなら、ノコギリヤシに発毛効果があるかどうか、科学的根拠が乏しいからです。たしかに、「ノコギリヤシはDHTが原因の前立腺肥大症に対して、一定の効果がある」という研究結果もありますが、だからといって、AGAも治療できるとは断言できないのです。
また、ノコギリヤシでAGAが改善したという研究は報告されておらず、日本ではノコギリヤシのAGA治療効果は認められていません。
ノコギリヤシに期待できる育毛効果
ノコギリヤシに期待できるのは育毛であり、発毛とは違います。育毛と発毛は似て非なるものです。発毛とは、その名前の通り新しく毛を生やすことであり、すでに生えている毛を健やかに育てる育毛とは全く意味合いが異なります。
ノコギリヤシに期待できるのは育毛効果であり、DHTを抑制してAGAを治療する発毛ではありません。
プロペシアとの比較
ノコギリヤシとプロペシア、どちらもDHTを抑制すると言われていますが、AGAを治療する上で、どちらを使用したほうが良いのかご説明します。
プロペシアとは
ノコギリヤシとプロペシアを比較する前に、プロペシアがどのような薬かおさらいしましょう。プロペシアとはAGA治療薬の1つであり、フィナステリドが主成分です。フィナステリドには5αリダクターゼを阻害する効果があり、DHTの生成を抑制してAGAによる薄毛の進行を食い止めます。DHTを抑制するという面で、ノコギリヤシとプロペシアは共通していると言えるでしょう。
ノコギリヤシとプロペシアの3つの違い
ではノコギリヤシとプロペシアにはどのような違いがあるのでしょうか。
信頼性と治療成績
AGAの治療に対する信頼性と治療成績においては、ノコギリヤシよりもプロペシアの方が圧倒的に優れています。海外の研究によれば、100人を2つのグループにわけ、片方にはノコギリヤシを、もう片方にはプロペシアを2年間摂取してもらった結果、プロペシアの方がより薄毛改善の効果が見られました。
副作用
副作用の重大性については、プロペシアよりもノコギリヤシの方が小さいと言えます。
プロペシアには、乳房障害、ED、肝機能障害などの副作用があります。ただし、その発生リスクは小さく、ほとんど気にならないでしょう。また、プロペシアは女性が飲むことを禁止されています。プロペシアはホルモンに作用する薬であり、女性が飲むことでホルモンバランスが大きく乱れる恐れがあるのです。
ノコギリヤシの副作用は、吐き気や下痢、便秘の他にもめまいや頭痛などがあります。プロペシアの副作用に比べ、どれも身近なものばかりです。プロペシアは医師による副作用のコントロールが必要ですが、ノコギリヤシにはその必要がないほど、軽微なのです。
サプリと医薬品
プロペシアは医薬品、ノコギリヤシはサプリに分類されています。医薬品とは含まれた成分が症状の治療に効果があると厚生労働大臣から承認を受けたものです。つまり、品質や効果が国によって保証されているということです。
それに対してサプリメントにはこういった明確な定義がなく、その取扱いは食品です。基本的には、特定の成分が含まれた製品というのが、サプリメントの定義となっています。
なぜ同じ効果なのにこのような違いがあるのかというと、ノコギリヤシには医学的な根拠がないからです。ノコギリヤシはDHTを抑制すると言われていますが、AGAに効果があるという明確な根拠はありません。そのため、日本ではノコギリヤシは医薬品ではなく、サプリメントとして扱われているのです。
結論:AGA治療はプロペシアの方が良い
以上の理由から考えるに、AGA治療にはノコギリヤシよりもプロペシアの方が優れていると言えます。医薬品として認められているだけでなく、副作用の発生率も非常に低いため、AGAの治療にはノコギリヤシではなくプロペシアを選択するべきです。
プロペシアの入手手段
プロペシアは、医療用医薬品に分類されています。これは医師の処方箋なしでは購入することができないということであり、ドラッグストアなどでは購入できません。プロペシアが欲しいのであれば病院で処方してもらう必要があります。
一方で、インターネット上で個人輸入を利用すれば、医師の商法なしにプロペシアが手に入ります。個人輸入について、自分が使用する範囲内であれば問題なしと厚生労働省が認めており、プロペシアを処方箋なしに入手することは、法律的に問題ありません。個人輸入の方がクリニックで処方を受けるよりも安価で購入できることから、個人輸入でプロペシアを購入する人もいます。
しかし、プロペシアの個人輸入は危険です。その理由をご説明します。
個人輸入よりも病院での処方がおすすめの理由
個人輸入とクリニックでの処方、この2つを比較するとクリニックで処方してもらう方が安全性は高いです。プロペシアを処方する前に、医師からプロペシアの効果がどのようなものか、副作用にはどのようなものがあり、どのくらいリスクがあるのかなどを詳しく説明を受けることができます。また、副作用が出たときは、直ちに対処してくれるのです。こういった理由から、クリニックで処方を受けることは、プロペシアを服用するときの安心感が違います。
対して、個人輸入の場合は医師からの説明がなく、用法用量も自分で調べなければなりません。それだけならまだしも、個人輸入で購入したプロペシアが偽造品の可能性もあります。予想外の副作用が生じ、健康被害が発生する恐れもあるのです。場合によっては病院での治療を受けなければならないほどの健康被害が出る恐れもあり、安く済ませるつもりが、反対に高くついたということにもなりかねません。以上の理由から、プロペシアは病院で処方してもらったほうが良いのです。
ノコギリヤシよりもプロペシアを選びましょう
ノコギリヤシはAGAの改善に効果があると考えられています。しかし医学的な根拠に乏しく、プロペシアと比較すると、どうしてもその効果はプロペシアに劣ります。そのため、本格的なAGA治療を望むのであればプロペシアの服用をおすすめします。