コラム

辛いものを食べるとハゲる?食べ物が頭皮に与える影響とは?

辛いものを食べるとハゲる?食べ物が頭皮に与える影響とは?

薄毛に関係する俗説のひとつに、「辛いものやカフェインなどの刺激物を摂取すると、薄毛の原因になる」というものがあります。その一方で、「刺激物には育毛効果がある」という説も耳にします。

薄毛を改善したい人にとって、刺激物を食べていいのか避けるべきなのかは大きな問題です。この記事では、辛い食べ物やカフェインが髪に与える影響について解説します。

食べ物は髪と頭皮の状態を大きく左右する

髪は、食事から摂取した栄養素を使って生成されます。また、頭皮の血行や毛根の健康状態は、摂取する食事によって大きく左右されます。
そのため、髪にとって食事は非常に重要な要素です。

髪の生成にはタンパク質・ビタミン・ミネラルといった多くの栄養素が必要であり、そうした栄養素を積極的に摂取することが大切です。その一方で、脂質や塩分を過剰に摂取すると、髪の健康に悪影響が及びます。

辛いものやカフェインなどの刺激物に限らず、食べ物は髪と頭皮に大きな影響を及ぼします。薄毛を予防・改善するためには、普段の食事内容に十分注意することが大切です。

辛いものと薄毛の関係

辛いものを食べても、適量であれば抜け毛が増えることはありません。逆に、辛いものを摂取することで育毛効果が得られるとする研究報告もあります。
ただし、辛いものを過剰に摂取すると、胃腸の健康状態が悪化して髪の成長に悪影響が及ぶ場合があります。そのため、辛いものを大量に摂取するのは避けるべきです。

カプサイシンには育毛効果がある

代表的な辛味成分に、「とうがらし」に含まれている「カプサイシン」があります。
カプサイシンには、育毛効果があることが研究で確認されており、カプサイシンを配合した育毛サプリも販売されています。

カプサイシンは髪の成長を促進する

カプサイシンには、知覚神経を刺激して「CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)」という物質の放出を促進する作用があります。
カプサイシンによって増加したCGRPは、毛根に作用して「IGF-1(インスリン様成長因子)」という成長因子の増加を促します。IGF-1には髪の成長を促進する作用や毛根の炎症を抑制する作用があり、髪を太く健康にして薄毛の予防・改善に役立ちます。

カプサイシンは頭皮の血行を良くする

また、カプサイシンには、脂肪の燃焼を促進して身体を温める効果もあります。
ラットを使った実験では、カプサイシンを与えることで脂肪組織の重量と血液中の脂質の量が減少したという結果が得られています。

脂肪組織の重量が減少したということは、脂肪が燃焼されたということです。
また、血液中の脂質の量が減少すると、血液がサラサラになるため血行が良くなります。

頭皮の血行は、髪の健康維持にとても重要です。カプサイシンによって頭皮の血行が促進されると、髪の健康状態が改善されて抜け毛が起こりにくくなります。

カプサイシンの発毛効果は実験で確認されている

名古屋市立大学において、薄毛に悩んでいる48名の被験者にカプサイシンと大豆イソフラボン(CGRPを増やす作用がある)を毎日摂取させる実験が行われました。
その結果、約80%に明らかな育毛・発毛効果が認められたことが報告されています。
このことからも、カプサイシンが髪にとって良いことがわかります。

血行促進効果が髪に好影響を与える

カプサイシンに限らず、辛いものには身体を温める効果があります。
身体が温まると血管が拡張して血流量が増加するため、身体を温めることは頭皮の血行にも良いといえます。

髪の毛は、血液によって運ばれる酸素と栄養素を使って生成されます。
辛い食べ物によって頭皮の血行が促進されると、髪を支える筋肉が衰えにくくなり、抜け毛が減少します。

摂り過ぎは髪の健康に悪影響を及ぼす

以上のように、辛いものの摂取は薄毛予防にプラスの影響を及ぼします。
しかし、辛いものを過剰に摂取すると、髪の健康に悪影響が及ぶ場合があります。

辛いものの過剰摂取は胃腸の健康を悪化させる

とうがらしなどの辛いものを多く摂取すると、粘膜が荒れて胃腸の健康状態が悪化する場合があります。
胃腸の健康状態が悪化すると、栄養素を消化・吸収する能力が低下し、髪にも悪影響を与えます。

何故なら髪の成長には、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどの数多くの栄養素が必要だからです。胃腸の健康悪化によってそうした栄養素が不足すると、髪の成長が阻害されてしまいます。

辛いものは髪に良い効果がありますが、髪の成長にはさまざまな栄養素が必要です。
辛いものを過剰摂取することで、栄養のバランスが偏らないようにしましょう。

脂肪分と塩分の過剰摂取にも注意

カレー・キムチ・担々麺・麻婆豆腐などの辛い食べ物の中には、脂質や塩分を多く含むものがあります。そのため、辛いものを過剰に摂取すると、脂質や塩分の摂り過ぎになってしまう恐れがあります。

・脂質の摂り過ぎは髪に悪影響を及ぼす
脂質を過剰に摂取すると、皮脂の分泌量が増加します。頭皮の皮脂が過度に多くなると、皮脂を食料とする雑菌が繁殖して頭皮の炎症が起こり、髪の健康に悪影響が及びます。
また、血液中の脂質が増えると、血液がドロドロになって頭皮の血行が悪化します。
髪の健康を維持して薄毛を予防するためには、脂質の摂り過ぎを避ける必要があります。

・塩分の過剰摂取は血管や内臓の健康状態を悪化させる
脂質と同じく、塩分の過剰摂取も髪の健康に悪影響を及ぼします。塩分を摂り過ぎると、血圧が高まって血管に負担がかかり、血管の老化が早まります。その結果、頭皮の血行が悪化して抜け毛の原因になります。

また、塩分の摂り過ぎは、肝臓や腎臓などの内臓にも悪影響を及ぼします。肝臓や腎臓は毒素を分解・排出する臓器であり、それらの健康状態が悪化すると体内の毒素が増加して髪の成長が阻害されます。

脂質や塩分の過剰摂取を防ぐためにも、それらを多く含んでいる辛い食べ物を大量に摂取するのは避けるべきです。

カフェインと薄毛の関係

カフェインは、コーヒーや紅茶などに多く含まれている刺激物です。
カフェインにも「薄毛対策に効果的」とする説と「薄毛の原因になる」という説の、相反する2つの説があります。

カフェインの血行促進効果は髪に好影響を与える

カフェインには、脂肪の燃焼を促進して身体を温める効果があります。また、毛細血管を拡張する効果があり、身体の血行を促進します。
頭皮の血行は、髪の成長にとても重要です。カフェインの摂取によって血行が良くなると、髪の成長が促進されて薄毛が起こりにくくなります。

カフェインが髪の成長を刺激するという実験報告がある

試験管内での細胞実験では、カフェインが男性ホルモンの働きを抑えて毛髪の成長を促進するという実験結果が得られています。
また、シャンプーにカフェインを添加すると毛根の健康維持に効果的という報告もあります。

カフェインは発毛効果のある「アデノシン」の働きを阻害する

こうした髪に対するプラスの作用が確認される一方で、髪の成長に悪影響を及ぼす作用もあります。

カフェインは、髪の成長を促進する「アデノシン」の働きを阻害するのです。
アデノシンは体内に存在している物質で、「FGF-7」という育毛促進因子の産生を促して髪の毛を太くする作用があります。
臨床試験でも育毛の有効性が確認されており、医薬部外品として承認されている物質です。

カフェインはアデノシンと構造が似ており、アデノシンと細胞の受容体の結合を邪魔することでアデノシンの働きを阻害します。

カフェインは髪の成長に重要な睡眠を妨げる

カフェインに覚醒作用があることは広く知られています。
睡眠は髪の健康にとって非常に重要であり、カフェインの覚醒作用によって睡眠が阻害されると髪に悪影響が及ぶ場合があります。

髪の発育に必要な成長ホルモンは、深く眠っている間に多く分泌されます。
カフェインによって眠りが浅くなると成長ホルモンの分泌量が減少し、結果として髪の成長が滞って髪が細く弱くなってしまいます。

成長ホルモンの不足による薄毛の進行を防ぐためには、就寝前のカフェインの摂取や、カフェインの過剰摂取を避けることが大切です。

カフェインの過剰摂取は避けるべき

以上のように、カフェインには「髪に好影響を与える作用」と「髪に悪影響を及ぼす作用」の両方の作用があります。
そのため、カフェインが髪に与える影響については一概にはいえません。

カフェインはコーヒーや緑茶、紅茶などに含まれており、多くの人が日常的に摂取しています。
一般的な摂取量であればアデノシンの抑制効果も最小限に抑えられるため、薄毛に影響しないと考えられています。

ただし、カフェインを過剰に摂取すると、睡眠が阻害されて髪の成長に大きな悪影響が及ぶ可能性があります。
また、量が多くなればアデノシンの抑制効果も高まるため、髪の成長が阻害される恐れがあります。
そうした髪への悪影響を防ぐために、カフェインの過剰摂取は避けることをおすすめします。

薄毛予防のために刺激物を多く摂取するのはおすすめしない

以上、この記事では「辛いもの」や「カフェイン」といった刺激物が髪に与える影響について解説しました。
刺激物には髪にプラスの影響を及ぼす作用がありますが、髪に悪影響を及ぼす作用も存在します。
そのため、薄毛予防のために刺激物を多く摂取するのは避けることをおすすめします。

刺激物の過剰摂取は、髪だけでなく胃腸などの内臓の健康にも良くありません。
健康な髪と身体を維持するためにも、辛いものやカフェインなどの刺激物の過剰摂取は避けるようにしましょう。

髪の成長にはタンパク質・ビタミン・ミネラルなどの多くの栄養素が必要であり、薄毛予防のためにはバランスの良い食事を摂ることが最も重要です。
辛いものやカフェインなどの刺激物を日頃から多く摂取している人は、この機会に食生活を見直してみることをおすすめします。