コラム

筋トレをしすぎるとハゲるってホント?噂の真相とは?

筋トレをしすぎるとハゲるってホント?噂の真相とは?

「○○は薄毛の原因になる」という噂にはさまざまなものがあり、その中のひとつに「筋トレをするとハゲる」というものがあります。
筋トレはダイエットや体型維持にとても効果的ですが、薄毛の原因になると聞くと心配になりますよね。

結論から言うと、筋トレが薄毛の原因になるという医学的根拠はありません。それどころか、筋トレが髪にプラスの影響を与えるケースも多くあります。
そのため、髪への影響を気にして筋トレをやめる必要はありません。

この記事では、「筋トレをしすぎるとハゲる」という噂が広まった理由や、筋トレと薄毛の関係について詳しく解説します。

「筋トレをしすぎるとハゲる」といわれる理由

「筋トレをしすぎるとハゲる」という噂に、医学的な根拠はありません。ただし、そうした噂が広まったのには理由があります。
まずは、筋トレと薄毛が結びつけられた理由から解説します。

男性ホルモンの分泌量が増える

筋トレによって身体の筋肉量が増えると、男性ホルモンの分泌量が増加します。
男性型脱毛症は男性ホルモンの一種が増加することによって発症するため、「筋トレで増加した男性ホルモンによって薄毛が進行する」という噂が広まったと考えられます。

タンパク質の不足

激しい筋トレを行うと、筋肉繊維が傷つきます。筋肉繊維の修復には多くのタンパク質が必要です。
髪の毛も筋肉と同じくタンパク質でできているため、タンパク質が不足すると髪の成長が阻害されてしまいます。

「筋トレをしすぎると、タンパク質が不足して髪の成長が阻害される」というのも、筋トレが薄毛の原因とされる理由のひとつです。

活性酸素の増加

活性酸素は非常に強い酸化力をもつ物質で、日々の呼吸やストレスによって体内で発生します。筋トレなどの激しい運動を行うと、体内の活性酸素が増加します。
活性酸素は、その酸化力によって細胞を傷つけて老化を促進します。活性酸素は老化の原因物質といわれており、毛根の老化による薄毛を引き起こすと考えられています。

活性酸素の増加も、「筋トレをしすぎるとハゲる」という噂が広まった理由のひとつです。

筋トレは基本的に薄毛の原因にはならない

以上のような理由をみると、「筋トレは薄毛の原因になる」と考えてしまうかもしれません。
しかし、筋トレによって薄毛が進行するという医学的根拠はありません。
その理由をひとつずつみていきましょう。

筋トレで薄毛の原因となる男性ホルモンは増えない

筋トレを行うと男性ホルモンの分泌量は増えますが、薄毛の原因となる男性ホルモンが直接増えるわけではありません。そのため、筋トレが薄毛を進行させるとはいえません。

筋トレで増えるのは「テストステロン」

筋トレによって筋肉量が増えると、男性ホルモンの「テストステロン」の分泌量が増加します。テストステロンは、男性が男性らしくあるために必要なホルモンであり、以下のような効果があります。

・筋肉や骨の発達を促進する
・判断力や決断力を高める
・性欲を増進させる

上記でわかる通りテストステロンには、薄毛を引き起こす作用はありません。
つまり筋トレで増加する男性ホルモンは、「薄毛とは無関係である」といえます。

薄毛を引き起こすのは「ジヒドロテストステロン」

薄毛を進行させるのは、男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン(DHT)」です。
ジヒドロテストステロンが毛根に作用すると、髪の成長期間が短くなってしまいます。
その結果、髪が十分に成長する前に抜けるようになり、髪が細くなって薄毛が進行します。

ジヒドロテストステロンは、テストステロンが「5αリダクターゼ」という酵素の働きによってしたものです。
ここで「テストステロンが増えれば、ジヒドロテストステロンも増えるのでは?」と考える人がいるかもしれません。
ですが、ジヒドロテストステロンの発生量は、主に5αリダクターゼの量によって左右されます。体内のテストステロンが増えても、5αリダクターゼが少なければジヒドロテストステロンは増加しないのです。

筋トレでジヒドロテストステロンは増加しない

筋肉が発達する際には、テストステロンが消費されます。そのため、筋トレによって一時的にテストステロンの血中量が増えても、その大半は筋肉増強のために使用され、ジヒドロテストステロンの増加にはつながりません。
また、非常にハードな運動を行うと、逆にテストステロンの血中量が減少することが確認されています。

そのため、筋トレを行っても、薄毛の原因となるジヒドロテストステロンは増加しません。
つまり「筋トレで増加した男性ホルモンによって薄毛が進行する」という噂には、医学的根拠がありません。

筋トレによるタンパク質の不足は考えにくい

激しい筋トレを行うと、確かにタンパク質の消費量が増加します。しかし、現代の食生活で、髪の成長に影響がでるほどタンパク質が不足するケースは多くないといえるでしょう。

特に筋トレをして筋肉を大きくしたいと考えている人は、タンパク質を積極的に摂取する傾向があります。そのため、筋トレに伴うタンパク質の消費量増加によって薄毛が進行する可能性はほとんどありません。

なお、「筋トレをしすぎるとハゲる」という噂と関連して、「プロテインを摂取するとハゲる」という噂もありますが、これも誤りです。
プロテインは髪に必要なタンパク質を身体に補ってくれるため、育毛に適した製品です。髪の成長を促すために、むしろ積極的に摂取すべきです。

活性酸素の増加の影響も少ないと考えられる

活性酸素は老化の原因物質といわれていますが、活性酸素の増加の影響も少ないと考えられます。

何故なら人間の身体には、増えすぎた活性酸素を中和する機能が備わっているためです。
筋トレによって酸素の消費量が多少増えても、直ちに毛根の老化が進行するとは考えられません。
逆に運動をしないと運動不足による肥満や血行不良によって薄毛の原因になります。
つまり、筋トレによる活性酸素の増加も、薄毛を進行させるという根拠にはなりません。

また、活性酸素は、細菌やウイルスから身体を守る役割をもっています。
活性酸素は免疫機能に不可欠な物質ですので、一概に「身体に悪い」とはいえないのです。

筋トレが髪にプラスの影響を及ぼす場合もある

以上のように、「筋トレが薄毛の原因になる」という噂には根拠がありません。髪への影響を気にして筋トレを制限する必要はないといえます。
逆に、筋トレが髪にプラスの影響を及ぼす場合も多くあります。

血行が促進される

毛根は、血液によって運ばれる酸素と栄養素を使って髪を生成しますので、血行は髪の健康にとって非常に重要です。もし身体の冷えなどによって頭皮の血行不良が起こると薄毛の原因になります。

筋トレなどの運動は、身体の血行を促進させます。筋トレによって身体の筋肉量が増えることで熱エネルギーの発生量が増加して身体が温まり、血行が良くなるのです。

このことから筋トレは、頭皮の血行不良による薄毛の進行を防ぐといえます。

肥満による薄毛の進行を防ぐ

肥満も薄毛を進行させる要因のひとつです。筋トレによって身体の筋肉量が増えれば、エネルギーの消費量が増加して脂肪が燃焼しやすくなり、肥満を防止できます。
そのため髪の健康状態も良くなります。
なお、肥満が薄毛を進行させるメカニズムは以下のようになっています。

・肥満は薄毛の原因になる
肥満状態では、血液中の脂質の量が増加して皮脂の分泌量が増えます。これによって頭皮の皮脂が過剰になると、毛穴が詰まって髪の成長に悪影響が及び、薄毛の原因になります。
また、皮脂を食料とする細菌が繁殖して、頭皮の炎症も起こりやすくなるほか、過剰な脂質によって血液がドロドロになると、頭皮の血行も悪化します。
これによって髪の成長が阻害され、薄毛の原因となります。

ストレス解消になる

薄毛の主要な原因としてもう一つ挙げられるのがストレスです。ストレスを感じると、血管が収縮して頭皮の血行不良が起こるほか、体内の活性酸素の量も増加します。
そのためストレスを解消することができれば、薄毛の原因を抑えることができます。

筋トレによって分泌量が増える男性ホルモンのテストステロンには、思考を前向きにする作用があり、ストレスに対する抵抗力を高めます。
そのため、適度な筋トレは薄毛の防止につながるといえます。

以上のように、筋トレは髪の健康状態にプラスの影響を与える多くの要素をもっています。つまり「筋トレは薄毛を進行させる」という噂は誤りで、むしろ薄毛予防に良いということもできます。

筋トレが薄毛を進行させる可能性と対策

これまで解説した通り、「筋トレが薄毛を進行させる」という噂には医学的根拠がありません。
ただし、注意点があります。
タンパク質を十分に摂取していなかったり、頭皮のケアを怠ったりしていると、筋トレによって頭皮の健康状態が悪化する可能性があるのです。
筋トレを行う際には、以下の点に注意してください。

・タンパク質をしっかりと摂取する
髪はタンパク質でできており、タンパク質が不足すると髪の成長が阻害されて薄毛の原因になります。
筋トレはタンパク質の消費量が増えるため、タンパク質を充分に摂っていないと薄毛の原因になる場合があります。

筋トレを行う際には、肉・魚・大豆などからタンパク質をしっかりと摂取してください。
タンパク質が不足すると筋肉の発達も阻害され、筋トレの効果も薄れてしまうので、そういった意味でもタンパク質の摂取は重要といえます。

・頭皮を清潔に保つ
筋トレで汗をかくと、頭皮の雑菌が繁殖しやすくなります。洗髪を怠って頭皮が不衛生になると、雑菌の繁殖による炎症が起こって薄毛の原因になります。
筋トレを行ったら、シャワーを浴びるなどして頭皮を清潔に保つようにしましょう。

薄毛を気にして筋トレをやめる必要はない

以上のように、「筋トレをしすぎるとハゲる」という噂には医学的根拠がありません。逆に筋トレは、薄毛の原因となる血行不良や肥満の改善に役立ちます。
そのため、髪の健康状態を気にして筋トレをやめる必要はありません。

筋トレをしていて薄毛が進行した場合には、筋トレ以外に原因があります。薄毛が気になりはじめたら、原因を特定するために薄毛治療専門のクリニックに相談することをおすすめします。