コラム

大豆イソフラボンの本当の育毛効果!髪との関連性はあるか

大豆イソフラボンは育毛剤やシャンプーなどのヘアケア用品に採用されることがある成分で、「髪が生えるのではないか?」と期待してしまいます。そこで、本当に大豆イソフラボンに発毛効果はあるのか、情報を整理しました。

大豆イソフラボンとは?どんな栄養素?

大豆イソフラボンはどのような栄養素なのか、何故発毛や育毛に良いとされているのかその秘密を紹介します。

大豆イソフラボンとは

大豆イソフラボンは大豆や大豆胚芽、それらを原料とする加工食品に多く含まれるポリフェノール、フラボノイドの一種です。分子の構造や体内でのはたらきが女性ホルモン・エストロゲンに似ていることから、植物性エストロゲンとも呼ばれています。

出典:厚生労働省 食品安全委員会 「大豆イソフラボン

大豆イソフラボンでは髪は生えない

大豆イソフラボンはエストロゲンに似た作用をもつことから、男性ホルモンを抑制して発毛作用をもたらす期待されていますが、実際は大豆イソフラボンと発毛との間に直接的な科学的根拠はありません。

一時期は、大豆イソフラボンに発毛効果があると謳った論文が発表されて注目されましたが、その論文の著者にねつ造や不正が発覚し、その信ぴょう性が失われました。

つまり、大豆イソフラボンを含む食材を食べたからといって、髪が生えるとは言えないのです。

大豆イソフラボンはあくまで育毛を助ける栄養素

大豆イソフラボンで発毛することはできません。ですが、大豆イソフラボンには育毛をサポートする効果が期待できます。そこで、大豆イソフラボンは髪や頭皮にどのような作用をもたらすのかをご紹介します。

大豆イソフラボンの本当の効果

血行の改善

大豆蛋白質取によりコレステロールが低下することをヒトで報告したのは Hodgesら[9]で ある。高コレステロール患者が大豆製品を4週間取すると血中コレステロールが7.66 mmol/L(296mg/dl)から5.0mmol/L(193mg/dl)に低下した 。以来、 多くの研究者が動物蛋 白質と植物蛋白質の血中脂質濃度や心血管疾患のリスクについて調べてきた。

引用元:石見恵子,柳進,圓藤吟史 「大豆タンパク質とコレステロール

コレステロールは血管に付着しやすい性質をもち、血流を妨げて髪や頭皮にまで血液を届きにくくします。一方、大豆イソフラボンを摂取すると血中のコレステロール値を低下させることができます。

つまり、大豆イソフラボンによってコレステロール値を下げて血行を改善することで、成長に必要な栄養素が毛根に届き、髪の成長をサポートすることができるのです。

美肌効果

キッコーマンは、大豆イソフラボンが、女性ホルモンの分泌の低下が原因で起こる皮膚のシワや弾力の低下を予防、改善する効果があることをヒトでの臨床試験で確認した。

引用元:日経メディカル 「“女性の味方”大豆イソフラボンに美肌効果 キッコーマンがシワ改善効果をヒトで確認」2005年09月16日

健やかな髪を生やすには、土台となる頭皮の環境を整えるのは必須です。

大豆イソフラボンは皮膚に弾力を与えます。女性ホルモン様作用によってコラーゲン成分の生成を促し、肌の弾力やハリ、潤いをもたらすのです。

大豆イソフラボンは頭皮をより健康的な状態へと導き、ハリとツヤの良い髪を育ちやすくするのに有効と言えます。

5αリダクターゼ抑制

大豆イソフラボンは、薄毛を促すホルモンを生成する酵素のはたらきを阻害する作用があります。

5αリダクターゼとは男性ホルモンのテストステロンと結びつき、ジヒドロテストステロン(DHT)という抜け毛を促すホルモンを生成します。大豆イソフラボンは、DHTを生成する5αリダクターゼを抑制して薄毛の予防や進行を止めるのに役立ちます。

出典:日本食品科学工学会誌 「大豆由来の新成分“エクオール”の最新知見

発毛が目的ならクリニックを受診

髪を生やすことが目的の場合は、まずクリニックで治療を受けましょう。薄毛治療は、専門クリニックや皮膚科で受けらますが、医師の技量や経験などを考慮すると薄毛専門のクリニックを選ぶのがおすすめです。

薄毛専門クリニックでの治療のすすめ

専門クリニックを推す理由は、薄毛治療の症例数の違いです。薄毛を専門的に見てきた分、総合的に受け付ける病院よりも専門クリニックのほうが薄毛治療の症例数が多いと言えるでしょう。

また、行なっている治療のほとんどが発毛に特化した治療サービスばかりです。カウンセリングや問診、触診、検査を通して薄毛発症の原因を探り、それに見合った治療薬の提案や生活習慣の改善に関するアドバイスをしてもらえます。

主に、薄毛専門クリニックで処方される薬はプロペシア、ザガーロ、ミノキシジル(外用薬)の3種です。どれも薄毛の原因にアプローチしますが、作用機序が異なります。それぞれご説明します。

プロペシア

プロペシアは男性のAGA治療に使用される薬です。主成分であるフィナステリドがテストステロンをDHTに変換する2型5αリダクターゼのはたらきを阻害し、発毛効果をもたらします。プロペシアの効果が確認できるまで、6か月の連日服用が必要です。

出典:岡山大学医学部歯学部付属病院薬剤部 「Microsoft Word – 06.01男性型脱毛症

プロペシアの発毛効果や服用時の注意点などをより詳しく知るために、以下の記事で開発経緯や作用、注意点、口コミなどを参考にしましょう。

AGAの内服薬!プロペシアの効果や注意点・体験談

ザガーロ

ザガーロもAGA治療に用いられる薬のひとつで、3種類あるAGA治療薬の中でも新しい薬です。作用機序は5αリダクターゼの阻害ですが、プロペシアと異なり1型と2型の両方の5αリダクターゼのはたらきを阻害します。

5αリダクターゼには2種類あり、主に頭頂部と前中頭部多いのが2型、側頭部や後頭部に多いのが1型です。ザガーロは両方を阻害することができるので、プロペシアより強力な作用がある言えます。

治療効果を評価するには、服用してから6ヶ月間の治療が必要ですが、人によっては服用してから早くて12週間で改善が認められたこともあります。

出典:日本病院薬剤師会  「医薬品インタビューフォーム

ザガーロの開発の経緯や作用、服用での注意点など詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしましょう。

最新AGA治療薬ザガーロとは?効果や副作用、他の治療薬との違いなど

ミノキシジル

ミノキシジルは血管拡張によって血流を改善し、頭皮に血液を届きやすくする薬です。プロペシアやザガーロとは違い5αリダクターゼのはたらきを抑えませんが、血行促進による毛周期(ヘアサイクル)の改善に役立ちます。

出典:帝京大学医学部 「ミノキシジル

なお、ミノキシジルは内服薬と外用薬の2種類があります。それぞれの作用の強さや服用の注意点については、以下の記事を確認してください。

ミノキシジルのタブレットは効果大!服用の注意点を知っておこう

治療費をリーズナブルに済ませるには

薄毛治療は保険適応外になるので、診察から薬の処方までかかる費用が心配になるでしょう。ですが、全ての専門クリニックが薄毛治療に高額な治療費を設定しているわけではありません。なかには初診・再診費用が無料で、実質かかる費用がお薬代だけのところもあります。

イースト駅前クリニックでは、国内正規品取り扱いのクリニックなので安全なAGA治療薬を処方してもらえます。また、先ほど紹介した3種のAGA治療薬のジェネリック医薬品を扱っているので、費用をより安く抑えられます。

治療と並行して大豆イソフラボンを取り入れる

大豆イソフラボンについて、発毛効果があるとする実験結果はありませんが、5αリダクターゼの抑制や髪のハリやツヤを整えるなどの点においては薄毛治療の効果をより高めるのに役立つ栄養素と言えます。

大豆イソフラボンを多く含む食材一覧

大豆イソフラボンは、基本的に大豆製品に多く含まれていますが、食材によって含有量に差があります。効率よく摂取するに、どの食材にどれだけ含まれているのかを把握しましょう。

(mg/100g)
食品名(検体数) 含有量 平均含有量
大豆(11検体) 88.3~207.7 140.4
煮大豆(3検体) 69.0~74.7 72.1
揚げ大豆(1検体) 200.7 200.7
黄粉(2検体) 211.1~321.4 266.2
豆腐(4検体) 17.1~24.3 20.3
凍り豆腐(1検体) 88.5 88.5
おから(1検体) 10.5 10.5
金山寺みそ(1検体) 12.8 12.8
油揚げ類(3検体) 28.8~53.4 39.2
納豆(2検体) 65.6~81.3 73.5
味噌(8検体) 12.8~81.4 49.7
醤油(8検体) 1.0~1.7 0.9
豆乳(3検体) 7.6 ~59.4 24.8

厚生科学研究(生活安全総合研究事業)食品中の植物エストロゲンに
関する調査研究(1998)より

引用元:厚生労働省 「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A

例えば、おおよそ豆腐1パック300gでは60.9mg、納豆1パック40gでは29.4mgの大豆イソフラボンを摂取することができます。

大豆イソフラボンを摂取するときの注意点

特定の栄養素を過剰摂取すると、体調を崩す恐れがあります。1日の大豆イソフラボンの摂取目安量を守ることが大切です。食避難全委員会によると、日本人の1日の摂取目安量の上限は70~75mg/日です。この料を超えないように注意して下さい。

出典:食品安全委員会 「大豆イソフラボン

カプサイシンも一緒に取ると良いのか?

大豆イソフラボンとカプサイシンは相性が良く一緒に摂取すると、髪のハリやコシを保つ、髪の成長サイクルを整える成長因子を増やすとされ、この2つの栄養素を組み合わせたサプリメントが発売されているほどです。

しかし、大豆イソフラボンとカプサイシンの併用による育毛効果には医学的根拠がありません。

ですが、カプサイシンには基礎代謝を高めて脂肪や糖分の燃焼をサポートする、食欲増進、疲労回復などの効果があるとされているので、健康維持の目的で摂取するのはおすすめです。

大豆イソフラボン入り食材が育毛を助ける

大豆イソフラボンは育毛のために積極的に取り入れたい栄養素です。ただし発毛効果は認められていないことを知っておきましょう。

大豆イソフラボンの本当の効果は育毛を促進し、クリニックでの発毛治療をサポートすることです。大豆イソフラボンの血行促進、美肌効果、5αリダクターゼの抑制などは、育毛に役立ちます。

ただし、過剰に摂取すると体調を崩す恐れがあるため、1日の適量を守って大豆製品を食べましょう。